一生彼女が出来ない旅

『旅がしたい』それだけのために仕事を辞めた、金も学歴も特技もない36歳の男です。

旅に出れば何かが変わる。

13年前にフラれた彼女を忘れられる。

日本人の旅人と仲良くなって一緒に観光とか行ったり、外国人と毎晩飲み明かせると思ってました。

そんな願ひを込めて日本人宿や相部屋のドミトリーホテルに泊まりましたが、一切そんな事は起きずに今まで旅をしています。

もともと昔から大勢で飲む事には縁がないです。

サークルやバイトなどの飲み会があっても、トイレから戻ると自分の席の周りには誰もいないことがありました。

その時はトイレに忘れ物をしたそぶりで戻り、飲み会が終わるまでトイレの個室で過ごした事が何度もあります。

今でもその時の記録がミクシーで「トイレなう」として残っています。

それでも旅に出れば何かあるんじゃないかと心の底で思っているバカ野郎です。

ホーチミンからジェットスターでハノイにやってきました。

前日にスマートフォンで予約して預け荷物込みで約7500円でした。

タイ・カンボジア・ベトナムのカントーとバスで移動して初めて飛行機を使って、ベトナムの首都であるハノイにやってきました。

ハノイに来て真っ先にする事は大好きな【生】ビールを飲む事です。

ホーチミンでは残念な事にベトナムの【生】ビールがありませんでした（タイガービールやハイネケンはありました）。

【生】ビールを飲むため、飛行機に乗る前から一切水分を補給していません。

２時間のフライトで到着後、「ヘイタクシー！」と言う気持ちで颯爽に乗り込み、ハノイの中心部にやってきました。

【生】を求めてさまよった挙句、ついにベトナムで初のベトナム産【生】ビールを旧市街の中心地で見つけました。

それはドラム缶に入っていてました。

名前はビアハノイです。

値段は5000ドン。

25円です。

感動で言葉が出ません。

飲むだけで目から麦酒が出てきそうです。

喉の渇きを我慢して飲む【生】ビール。

灰色だったハノイの街に色がつきました。

ハノイまで来て良かった。

生きてて良かった。

13年間、彼女を引きづって良かった。

何度も声に出しては【生】ビールを噛みしめて、何杯も胃の中に放り込みました。

 

 

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