Airbnbの喫煙スペースで起こった話

2016年の12月、アメリカ・ロサンゼルスで傷心旅をしていました。

民泊のAirbnbを使って泊まった宿は、大きな一軒家のシェアハウスで、毎日10人以上の旅行客が泊まっていました。

宿の外にはテーブルと椅子とベンチが置いてある喫煙スペースがあり、夜になるとみんなが自然と集まりタバコを吸って談笑していて、僕もたまにその中に入る事がありました。

入るといっても英語は話せないので、うなずいたり笑顔で答える程度でした。

 

その宿に、何日間も泊まっている黒人のボブという主(ぬし)がいて、彼は新入りが来ると決まって「俺がボブだ。よろしく」と言って挨拶をしていた。

ある日、喫煙スペースではいつものよう人が集まっていて、座れない人たちは立ちながら会話に参加していた。

そこにボブがやってきて、「今日は人が多いな」と言いながら、買ってきたと思われる甘いドーナツをみんなに配りだした。

「これをたくさん食べてプッシュアップをすれば、俺みたいに筋肉モリモリになるんだ」

と言ってドーナツを食べてはその場で地面に手をついて腕立てをして、チカラコブを自慢しだした。

さらにボブは

「俺はバットマンにもスーパーマンにもなれるんだ」

と言いだした。

んな事あるかい、と思いながら聞いてみるとボブは、

「なんだ。みんな信じてないみたいだな」

と言いだして、突然僕の名前を名指しした。

「俺はバットマンやスーパーマンになれると思うか?」

アメリカだから自分の意見を正直に言うべきだろうととっさに思い、

「飛べない」

と答えた。

するとボブの顔が一瞬こわばり、僕の隣に座っているフランス人の男に聞いた。

ピエールは「飛べる」と答えた。

すると、ボブは「ニヤリ」とした。

結局、僕以外は全員「飛べる」と答えた。

ボブは

「答えはイエスだ」

と言って椅子の上に乗り、思いっきりジャンプして木の枝の葉っぱをむしって地面に着地した。

そしてドヤ顔。

みんなは「ワオ」などと言ったり真剣に拍手。

日本だったら失笑されるはずが、さすが個を尊重する国なのでみんなが彼をリスペクトしているんだろうと思った。

すると、再びボブが聞いてきた。

「俺はここから入口の扉まで、瞬間移動できると思うか」

入口の扉はまでは5~6メートルほどある。

「じゃあまたYOUから」

と言って僕に聞いてきた。

さすがにこれは無理だろうと思い、再び「NO」と答えたがそこにいた全員は真面目な顔して「YES」と答えた。

ボブはまたニヤリとして、

「見せてやる」

と言って、アイススケートをするみたいに体を横に揺らしながら、数人の間をすりぬけて入口の扉まで行った。

たしかに早かったが、瞬間移動ではない。

また同じように僕以外のみんなは「wow」などと言いながら拍手をした。

これがアメリカなのかと思った。

気づくとだいぶ遅い時間になっていたので、

「申し訳ないんだが、明日早いのでそろそろ寝るよ」

とボブに告げた。

すると、そこにいた全員も「俺もそろそろ寝るわ」と言って僕と一緒に宿の中に入った。

すると、急にみんなの表情が明るくなり、

「いや~退屈だったな!」

と一人が言い、みんなは笑いながら冷蔵庫からビールを出して飲みだした。

寝る前に窓から覗くと、余ったドーナツを噛みしめるように食べるボブの姿がそこにあった。

本音と建て前。

それはどこの国でもあるんだなと勉強になった。

 

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2 thoughts on “Airbnbの喫煙スペースで起こった話

  1. AA

    ほんと、暇つぶしにもならない駄文だな。
    もう少しオチとかないんか?

    とりあえす、
    平壌放送のモノマネ、ユーチューブにアップせよ。

    1. tt Post author

      AAさん
      事実をそのまま書いたので落ちが弱かったかもしれません。脚色がないリアルなアメリカでした。
      初めてそのモノマネに触れて頂き嬉しいです。チャンス見てアップロードするので、震えながらお待ち下さい。

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